子どもの情操教育の進展を願って活動する下妻市の「わらべうた・あそびランド」がこのほど、幼児のつぶやきを親や保育者が拾い上げて書き留めた「口頭詩」や小中学生の詩をまとめた詩集『くさぶえ』57集を作成した。冊子にちりばめられた日々の生活の中で何気なく口にした「小さな詩人」の言葉は、かつて子どもだった大人が忘れてしまった大切な気持ちを呼び起こすとともに、今を生きる子たちの成長の記録につながる。
「世の中が変わっても子どもの視点や素直な感性は変わりません」と話す武井隆志さん(66)は26年間『くさぶえ』の選者を務め2年前に会長に就任した。同会は「チャンチキおけさ」で知られる同市出身の作詞家・故門井八郎さんの提唱により1990年に発足し、年2回の詩集の発行に加え芋煮会などの交流行事を通して子どもたちの感性を育んできた。昨年は新型コロナウイルスの影響でイベントも詩集の発行も中止になったが、今年は多くの協力を得て発行に。市内の園や小中学校へ作品提供を呼び掛け口頭詩121点、児童詩1390点、生徒詩700点が寄せられ、その中から選者が選んだ詩を紹介している。
口頭詩を記録する注意点は、言葉をそのまま書き取り脚色しないこと。「一瞬で消えてしまうつぶやきを記録することで、子どもの成長も分かり生きている証を残すことにもつながります。子どもならではの忖度(そんたく)しない言葉に思わずにっこりすることも」と武井さんは目を細める。小中学生の詩の中にはコロナウイルスへの不安や怒りをぶつけたものも。「制約がある日常ですが、心の動きを詩に託すことは子どもたちの成長につながります。『くさぶえ』のともしびを絶やすことなく続けていきたい」。
冊子は下妻市役所千代川庁舎2階生涯学習課で1000円で販売。
■ 問い合わせ
0296(45)8995/下妻市生涯学習課
* 問い合わせの際は「常陽リビングのホームページを見た」とお伝えいただくとスムーズです。