Joyoliving News : 2022年01月11日掲載

高須の大空に大凧を

《半農半芸》 大空凧プロジェクト

豊かな田園風景が広がる茨城県取手市高須地区。かつてこの地域の凧の会メンバーが作った「大凧」を復活させようと、市民と東京藝術大学、行政の三者が共同で行う「取手アートプロジェクト(TAP)」が進めている「大空凧プロジェクト」が佳境を迎えている。構想から10年。大凧は、高須の大空に舞い上がるのか―。

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当時の大凧の骨組みを修復して空へ。左から2番目が岩間さん


12畳ほどの巨大な大凧は高須の住民でもその存在を知る人は少ない。

当時、凧の会メンバー だった倉島喜一さん(83)は「会の中に器用な人がいて2004年に3畳ほどの凧を作って大成功。それじゃぁ翌年にはもっと大きな凧を、と大凧を作ったけど4、5秒しか揚がらず失敗に終わったよ」と振り返る。

2005年1月、農閑期の田んぼのあぜ道で子どもを含む30人ほどで凧揚げに挑戦したが風向きなどの条件が整わず一瞬宙に浮いてすぐに落下。その日のうちに大凧は小学校の体育館にしまわれ、それ以降、日の目を見ることはなかった。

大空凧プロジェクトのはじまりは、《半農半芸》ディレクターの岩間賢(さとし)さんが高須公民館に飾ってあった大凧の写真を目にしたこと。

TAPは東日本大震災以降の新たなアートの形として「生きること・つくること」をテーマに高須を拠点に自然の要素を取り入れた表現活動《半農半芸》を展開してきた。

藝大の学生時代、里山に暮らし古民家や棚田再生にも取り組んできた岩間さんは、震災を境に変わりゆく景色を少しでも次の世代に残したいとの思いを強くしていたとき、大凧と地元の子どもたちが写っているその1枚を見て「これだ」と直感した。

できる限り高須のわらやヒイラギナンテン、イチイ、イチジク、ビワなどの素材で作った大凧をみんなで大空へ飛ばしたいという思いから、地元の人に話を聞いたり当時の写真を集めるなど復活に向け11年から少しずつ調査を重ねていった。

調べを進めるうちに自分たちならではの大凧制作に関する専門的な知見を加え、芸術作品としても通用する凧を目指してさまざまな手法を試みた。



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ビワやイチジクなど11色の顔料が完成

まず挑戦したのが絵の具作り。
地元の人に提供してもらった植物を細かく刻み、煮出して色を抽出・濾過して顔料に。

「手間をかけても求めていた色が出ないところが難しくもあり面白くもあります」とスタッフの倉持美冴さん。
現在までに11色が完成した。

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完成した和紙に1枚1枚色を塗り乾燥したらモザイク画のように貼り合わせる

凧の骨組みは体育館にしまわれていた当時のものを引っ張り出して補強修復し、その上に地元のわらで漉(す)いた和紙を張る。
使用する和紙はB4サイズほどで約300枚。

和紙づくりには約5・5kgのわらが必要だ。
集めたわらを5、6時間煮出して不純物を取り除き、ハンマーで叩いて繊維を柔らかくしたものを漉いて乾燥するなど手間がかかる。

「思いや夢を語っていたときより、実現に向けて動いている今が一番楽しいですね」と岩間さん。
10年の間に大空凧プロジェクトが中断した時期もあるが“高須産”にこだわった凧が揚がるまであと一歩のところまでたどり着いた。

「この時期、この場所で、皆さんと大凧という大きな宝を打ち上げる機運が高まったことが一番です」。

倉島さんは「当時の骨組みを生かしてもらえてうれしい。凧揚げの成功は風が大きく左右する。当日いい風が吹くことを祈るのみです」とエールを送る。



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高須公民館に飾ってあったプロジェクトのきっかけになった1枚


2005年に大凧を揚げた日が1月23日。17年の時を経て2022年の奇しくも同じ日の1月23日に令和の大凧を揚げる。
1(いち)、2(にっ)、3(さ~ん)と、高須の大空に舞うことを願って―。

取手アートプロジェクト《半農半芸》高須で空あそび

1月23日(日) 午前10時~正午
取手市高須公民館付近の農道で凧揚げを予定

(風の状況で時間は前後。荒天の場合は30日(日)に延期)。
当日の様子や最新情報は取手アートプロジェクトのHPで紹介
■問い合わせ
TEL.0297(84)1874/同実行委員会(火・金曜午後1時~5時)


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