Joyoliving News : 2021年12月20日掲載

「聞こえない」を強みに、みんなに優しくわかりやすいデザインを

デジタル庁制定 「デジタルの日」ロゴ制作者 岩田直樹さん

この春に内閣官房IT総合戦略室から発表された「デジタルの日(Japan Digital Days)」の創設に伴い、初年度となる2021年のロゴ制作者に選出された、つくば市在住のデザイナー・岩田直樹さん(26)。

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「視覚に頼ってきた自分ならではのデザインを心掛けています」と岩田さん

「耳の聞こえないグラフィックデザイナー」として活躍する岩田さんは、他薦による候補者の中から並み居る著名人を抑えて推薦得票数で1位を獲得。

制作依頼の連絡を受けてから公表まで1カ月という短期間で仕上げたロゴは、パソコンやスマホなどを介して人と人をつなげる「ネットワーク」と、広がりとつながりの象徴の「海」「空」をかけて青をベースにした配色。

デジタルの日の理念であるデジタルの定期的な「振り返り」「体験」「見直し」の3つの行動を3本のラインで表現し、小さな丸を入れて動きと立体感を出した。

「制作期間はプレッシャーと不安で眠れない毎日を過ごしましたが、多くの方の励ましと応援に後押しされて仕上げることができました。見た目で意味が分かるよう、そして『誰一人取り残さない、どんな人にも優しいデジタル』をイメージしたロゴになったと思います」。



和歌山県出身。生まれつき両耳が聞こえなかったが、小学校までは地元の公立校に通った。

「保育園からの友達が、耳が聞こえない自分を受け入れてくれていたのと、親や先生方のサポートもあり小学校では特に不自由を感じることはなかったです」。

社交的で明るく、目立ちたがり屋だったと振り返る小学校時代。クリエイティブなことが得意で、描いた絵をクラスの友達に披露していた。

中学からは「友人と離れる寂しさもありましたが、何より勉強についていけなくなることが嫌だったのと電車通学の憧れもあり」和歌山県立和歌山ろう学校に進学。情報保障など配慮が行き届いた環境で学習にも力が入った。

入学後には油絵やアニメーション制作にも打ち込みながら将来の目標を「デザイナー」に定め、美術大学への進学を視野にデッサンを習うなど充実した6年間を過ごし、卒業後に筑波技術大学総合デザイン学科に進学。

大学入学後も聞こえない友達とともに過ごす安心感の一方、いずれ聴者の社会で過ごす不安を払拭しようと、筑波大学の学生が中心になって行われている地域イベント「つくばクラフトビアフェスト」の実行委員に応募。同フェスの筑波山と麦が印象的なロゴマーク作成が岩田さんの初仕事になった。

「これがきっかけでコミュニティーが広がり、今の会社にデザイナーとして職を得るきっかけにもなりました。一歩を踏み出す大切さを実感しています」。

2018年には会社に所属しながら個人のデザイン事務所「ダイナモデザイン」を設立。「自分の力を試してみたかった。会社では配慮してもらっている依頼主とのやり取りなど大変なことも多いですが、それも含めて充実しています。聞こえない仲間のロールモデルとして道を切り開いていきたいという思いもあります」

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多媒体で使用された「デジタルの日」のロゴ

デジタルの日のロゴ制作と同時にデジタルの日に関するアドバイザーにも就任。
近々牧島かれんデジタル相との意見交換が控えている。

「デジタルが浸透することによって、障害の有無にかかわらず、人と人とがさらに深くつながれる世の中になることを期待しています。自分のデザインがその一助になれば」。

有名になり、同じく「聞こえない」後進たちの道を切り開いていきたい―。岩田さんの挑戦は始まったばかり。


デジタルの日、ホームページはこちら

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