Joyoliving News : 2021年11月13日掲載

絵本を通して農業の楽しさを伝えたい

茨城県南の農業従事者の挑戦

子どもたちに農業の楽しさを伝えようと県南地域の農業従事者3人が立ち上げた「アグリバトンプロジェクト」がこのほど、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を利用して絵本『おいしいまほうのたび あさごはんのたね』を制作した。本プロジェクトは、農林水産省と消費者庁、環境省が共催する「サステナアワード2020」でルーキー優秀賞を受賞。2021年10月からは全国で絵本の読み聞かせリレーを展開するなど、その活動は広がりを見せている。

左から井堀さん、本多さん、横田さん

左から井堀さん、本多さん、横田さん

「茨城県内の3つの中学校で実施した『なりたい職業』アンケートで農業の得票数はゼロ。やっぱりね、と思うと同時に何かしなくてはいけないと強く思いました」。

龍ケ崎市内の米農家・横田祥さん(47)は知人から聞いた現実に納得しつつも危機感を覚えた。

後継者不足や休耕田の増加など身近なところでも農業を取り巻く環境は衰退の一途をたどり、食卓に並ぶ野菜や米がどこで作られているかを知らない子どもも少なくない。

普段から付き合いがある、牛久市のブルーベリー農家・本多恭子さん(46)とネギ農家・井堀実香さん(37)と雑談交じりにこうした話を繰り広げる中、自分たちで現状を変えるきっかけ作りができないかと思案し思いついたのが、農業の魅力を伝える絵本制作だった。


さきごろ龍ケ崎市内で行われた読み聞かせイベントの様子。子どもたちは興味深そうに聞き入っていた

さきごろ龍ケ崎市内で行われた読み聞かせイベントの様子。子どもたちは興味深そうに聞き入っていた

横田さんは米農家に嫁いだことがきっかけで、本多さんは亡き父親の思いを継いで、井堀さんは家庭菜園で火が付き農業をスタート。

自然の中で体を動かす気持ち良さや収穫の喜びなど、それぞれにやりがいを感じている。
3人とも日頃から収穫体験などのイベントを実施し、参加者の様子を近くで見てきた。

「ネギが嫌いな子も自分で収穫したものはおいしそうに食べるんです。きっかけは大切ですよね」と井堀さんは子どもの素直な反応を口にする。

※霞ケ浦の湖上を進む帆引き船(霞ヶ浦帆引き船・帆引き網漁法保存会提供)

一般販売は12月1日(水)。11月中はニジノ絵本屋はじめ各書店で先行販売中

2020年春、3人で物語の原案を考えるところから本格的にプロジェクトが始動した。
目指したのは「農業の楽しさを伝える」絵本だ。

「最初の頃はどうしても食育や教育的な内容に偏りがちでした。どうしたら農業という仕事を伝えられるか悩みましたね」と本多さん。
話し合いを重ねてたどり着いたのが、種まきから収穫まで一連の流れを絵本の中で子どもたちが体験することで農業を身近に感じてもらうことだった。

知り合いの農家を取材して少しずつイメージを固め、小学校低学年にも伝わる言葉を選んだ。

3人が作った原案を元に、つくば市の絵本作家・小林由季さんが仕上げた絵本は作物の生長とともに四季折々の景色が描かれ、日本の原風景を感じられる1冊に。

横田さんは「春夏秋冬があるからおいしい作物が育つことも伝えたかった。どの季節も大事だよって」と絵本に込めた思いを語る。

2020年7月から9月までに実施したCFでは全国から239人、目標額の200%を超える支援が寄せられ関心の高さを知った。
さらに日本中の子どもたちに絵本を届けたいとの思いで募った読み聞かせをする「アグリバトンプロジェクトランナー」には、10月時点で19都道府県47人から読み手の参加申し込みがあった。

「絵本をきっかけに農業が子どもたちの憧れの職業になったらうれしいですね」と本多さんは期待する。

3人がまいた「絵本」という小さな種が、日本中の子どもたちの心に大きな実りをもたらすことを願って―。


アグリバトンプロジェクト イベント予定

◇オンラインフェス 11月14日(日)
アグリバトンプロジェクトの公式YouTubeから参加可。
絵本で紹介している歌や手遊び、読み聞かせの実技など。
午後6時〜9時。
◇アグリバトンマルシェinカクイチ 11月28日(日)
カクイチA-SITE竜ケ崎店(龍ケ崎市緑町)。
午前10時〜午後2時。
午前11時〜・午後1時〜読み聞かせを実施。
このほか12月12日(日)サプラ(龍ケ崎市小柴)でイベント予定。

agribatonproject@gmail.com(問い合わせ)

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