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2019年9月9日(月)

「剛から柔」へ土砂災害予防

「筑波山の水脈を守る会」山麓で活動中

局地的な大雨による土砂災害がここ数年全国各地で頻発する中、筑波山の地下水脈を本来の「あるべき姿」に戻し、身近な防災に役立てようという試みが住民有志の間で行われている。メンバーらは専門家に整備の方法を学び、週末の山仕事を楽しんでいる。


宮山の谷筋には先人が築いた石垣がある。所々崩落した箇所の石積みも行う=8月24日、つくば市臼井

8月末。つくば市臼井にある宮山の西の谷筋で、沢水の通り道を作る「メンテナンス作業」が行われた。斜面崩壊した泥をすくって枝葉と竹炭を挟んで積み上げ、地面に湧き水を誘発するための穴を空けた。

つくばみらい市と常総市から参加した女性らは「午前中泥水だった場所が午後には清水になった。まるで大人の泥遊び」と白い歯を見せた。

「水脈のある場所には爽やかな空気の流れがある」と話すのは、筑波山の水脈を守る会事務局の茅根紀子さん。夫の仕事でつくばに引っ越し、里山のロケーションに魅了され一昨年山麓に居を構えた。

昨年夏、西日本豪雨の土砂災害の映像を見た茅根さん。市のハザードマップなどから背後の山肌が土砂災害警戒区域と知った。「他人事じゃない」と思い、庭造りを依頼する予定だった造園家の知見に目からうろこが落ちた。

土壌環境の「劣化」


フィールドワークで山麓の植生を「守る会」メンバーに解説する高田さん(左)=9月3日、つくば市神郡

高田宏臣さんは、千葉市で造園業を営む傍ら全国の土砂災害現場を視察。各地のフォーラムなどで「水と空気の健全な循環」の視点から住宅地や里山、保安林の環境改善などの成果を積極的に発信している。

今年1月、「守る会」では高田さんを招いた講演会を実施。高田さんによると、山から流れ落ちる水は、砂防ダムや擁壁、生活排水を流すU字溝など人工物の重みで滞留。土壌内で目詰まりを起こし酸素が欠乏するためグライ化(還元作用)する。

空気の通り道がなくなった水脈内では微生物や菌類の呼吸ができなくなり、乾燥で地表面が乾いて砂漠化。水分の調整機能を失った土砂は表層崩壊しやすくなるが、一方で「自然が元の状態に戻ろうとする自律的安定の状態」だという。高田さんは「今後は自然を力でねじ伏せない土木技術が必要になる」と指摘している。

つながる仕組み


砂を噴き上げながら冷水が湧き上がる(筑波山の水脈を守る会提供)

講演会後、「守る会」では地域の放置竹林の竹で炭を作る活動を始めた。土と枝葉を重ねて地形を造ったり、溝や堅穴に入れることで「水の通りを良くする」(茅根さん)という。

4月には高田さんを招いたワークショップを開催。水の流れが滞り湿地状態となっていた場所に溝を掘り、石積みの方法や地形と植生から地下を流れる水脈を推察するすべを教わった。

茅根さんは「経済的な観点ではなく、現代にあって山と人が密接につながる仕組みを筑波山から発信していけたら。昔の人が暮らしの中でどのように災害から身を守っていたのかを山仕事から学び、地域の皆さんとシェアしていきたい」と話している。

次回の活動日は9月28日(土)午前9時〜正午(雨天決行)。昼食は300円、未就学児100円。参加はメールで。tsukubanomizu@gmail.com

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