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2019年8月26日(月)

「壁」を越える音楽の力

土浦市出身の歌手 美地さん

「愛と平和」をテーマに国内外で活動する土浦市出身の美地さん(66歳、本名・朝比奈美地子さん)は、前職の保育士時代から歌手として歩み続けて26年。人生のさまざまな場面で実感した音楽の力を信じ、童謡やシャンソン、懐メロ、オリジナルなど多彩な歌を多くの人と分かち合う活動を続けている。


「世界中のお母さんたちへ」を情感たっぷりに歌い上げる美地さん=8月12日、土浦市の県南生涯学習センター多目的ホール

童謡「富士山」では伸びやかな声に優しくビブラートを効かせ、「世界中のお母さんたちへ」ではベトナム戦争の枯れ葉剤被害を題材にした詞をかみしめながら激しく声を響かせる—。

去る12日、故郷・土浦市内で初開催された「平和を語り継ぐコンサート」は各地で取り組むライフワークの一つ。16回目の今回は、米軍による枯れ葉剤の影響とみられる結合双生児として生まれた「ベトちゃんドクちゃん」のドクさんを招いたほか、中学時代の元教員が語る戦争体験や県内の子どもによる手話付きダンスなども登場。大画面に歌詞を映し、全曲に手話通訳を付けたステージは約2時間半。美地さんは観客席に「平和や子どもたちのために皆で歌っていきましょう」と呼び掛けた。

不思議な力

幼少期から美空ひばりや島倉千代子らの流行歌や「バナナ・ ボート」を口ずさみ、コーラスやリコーダーで音楽に親しんだ。憧れの歌手の道に進む自信は持てず、夢の一つだった保育士の資格を取得。都内の知的障害者施設などで勤務する中、歌の「力」を実感する出来事に何度も遭遇した。

施設での夕食後、個室のちゃぶ台の前で寂しそうに座る成人利用者が気になった。歌や読み聞かせを始め「一緒にやろう」と声を掛けると、リズム良く曲に乗り穏やかな笑顔を浮かべた。

日中けんかしていた男性同士も体を寄せ合いながら楽しむ様子に「音楽は壁を越える」ことを実感。地域で注力していた障害者らとの交流活動で親しくなった筋ジストロフィーと闘う同年代の女性は、徐々に弱りゆく体でも声の出る限り歌い続けた。「もっと一緒に歌いたかった」と最後の見舞い時に伝えられた。「空に旅立った方の思いも引き受け、いつも共に歌っていると感じています」

自分にできること


ゲストのグエン・ドクさん(中央)ら出演者と「ふるさと」大合唱で締めくくったコンサート。地元同級生らも開催に協力した=同

勤務先や保育士仲間、地域のサークルなどで歌を楽しんでいた30代後半の頃、歓談の席で上司が語り掛けた。「戦時中は自由に歌えなかった。あなたには歌ってほしい」。穏やかだが真剣な顔だった。軍歌や国威発揚を促す歌ばかりで、楽しむこともはばかられた時代に思いをはせ、使命感が湧き上がった。「良い歌を歌い継いでいきたい」。心の底にしまい込んだ歌手という夢の扉を開き、劇団やシャンソンを歌える店などに通い表現力や喉を鍛えた。

1993年、知人のリコーダー奏者の協力もあって約300人の観客を前に「デビュー」。保育士兼務歌手として踏み出し、都内近隣で年間数十回の出演をこなす中で東日本大震災が発生、東北の友人や親類も被災した。今の自分にできることを考え、童謡など親しみやすい歌をレコーディングしCDを作成。

「心を癒やしてもらえたら」と、車で向かった避難所などに贈るとともに手話や親子向け手遊びを交えミニコンサートも実施。ある避難所では「怖くて出なかった声が出るようになった」と涙を流す女性に駆け寄られ、自分がやってきたことを肯定された気がした。

その後、より多くの人に歌を届けようと保育士としての職を辞し歌手に専念。イベントや歌の集いのほか国外にも歌の交流を広げ、9月にはペルーでの公演を予定する。「ここまで続けられたのは、いつも背中を押してくれる人がいたから。音楽はあらゆる壁を越えられると信じ、今後も歌い続けたい」

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