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2019年1月12日(土)

面白く使う、仲良くなれる

ウェブサイト「茨城王」主宰 青木 智也さん

県内に散らばる約1200の方言を集めて解説するウェブサイトを軸に、執筆やラジオ、音楽活動など多彩な方法で茨城をPRしている青木智也さん(46 歳、常総市在住)。時代の流れと共に廃れたり変化していく方言を「楽しく生かす」活動は、今年で22年目を迎える。


最近、心が痛んだ出来事は「県西一のレジャースポット・砂沼サンビーチの閉園ですね」=常総市の豊田城で

県外の人には「冷たく突き放している」「怒っているよう」と評される茨城弁だが、本人いわく「素朴でぶっきらぼうだけど悪気はない。実は温かい言葉です」。

茨城のヤンキーからマックスコーヒーまで、茨城に関する言葉や習慣、風俗あれこれを詰め込んだウェブサイト茨城王(イバラキング)を中心に、「イバラッパー」と称して特産品や名所を盛り込んだ独自のラップは今や県内市町村の半数以上を網羅。コミュニティーFM局のレギュラー番組では恒例のかすみがうらマラソン茨城弁応援川柳を募り、執筆や講演活動も精力的に行いながら「手帳はこれで間違いあんめ!」と、今年の「茨城県民手帳」の帯文も担当した。

トレンディーに憧れ

田園が広がる旧石下町の農家に生まれ、家族や親戚、友だち、小学校の先生など「周りが全員なまっている環境」で育った。高校に入った頃はいわゆるバブル真っ盛り。流行のトレンディードラマに出てくる都会生活に憧れ卒業を機に上京した。予備校時代は街に飛び交う標準語を「ヒアリング」で見事習得。大学生の時友人との何気ない会話で大げさな尻上がりのイントネーションや方言を披露すると、これが大ウケ。「都会に出た茨城出身者はいろいろネガティブに考える人が多いけど、茨城弁って笑いが取れるんだなって」。

就職したソフトウェアメーカーでは深夜まで働き家に帰って寝るだけの日々。次第に疑問を感じ24歳で帰郷、のんびりとした時間の中でIT系の仕事の受注に結びつけようと自身のホームページを開設した。手始めに自分が知っている茨城弁を載せていくと、「確かに言う」「ウヂらはこんな言い方」などと県北から鹿行まで多くの反響が寄せられた。

29歳の時、深夜に車の自損事故で首の骨を折り3カ月の入院生活。「一歩間違えば死んでいた。これからはやりたいことを徹底的にやろう」と家業の米作りを手伝いながら茨城弁の採集に専念した。ネットの掲示板などで協力を呼び掛けながらまとめ上げた単語は約20年間で約1200。「だっぺ」「ごじゃっぺ」のように県内全域で通じるものもあれば、「じゃんぼ」や「じゃーぼ」(葬式の意)、など地区や集落単位、世代で違うものも。かと思えば、「青なじみ」などのように方言と気付かず使っているものもあった。標準語と違って複数の言い方がある方言に「本場」という概念はなく、可住地面積が広い茨城県の隅々までバリエーション豊かな言葉が広がっていることに改めて「おもしー」と感じた。

「使えば使うほど互いに距離感が縮まるのも方言の魅力ですよね」。やがて活動全般が地元紙の目に留まり、茨城弁や地元ネタをまとめた初の著作は4万部超のヒットを記録した。

耳で伝える

2005年夏、自身も心待ちにしていたTXの開通で県南の沿線エリアは一気に人口が増加。今や都会から田舎に人が流れてくるようになったことに隔世の感を禁じ得ない。同時に、若い世代を中心に茨城弁を話せる人は確実に減少傾向にあることも実感している。言葉は時代と共に必ず変化するもの。「これからは『いやどうも』や『ごじゃっぺ』が外国語のスラングのように、楽しみながら皆で使っていくものになれば」。

親兄弟から累々と受け継がれてきた言葉や県内の難読地名をプリントしたTシャツ、タオルなどのグッズで楽しんでもらい、今年は郷土かるたの製品化を目指す。「おじいちゃんおばあちゃんが普段使いの茨城弁で読み上げ、孫や小さな子どもが耳で覚えながら札を取り合う。そんな風景が理想ですね」

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