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2018年11月5日(月)

「子どもたちに、一冊でも多く」

母親らの“本活”5年目

一冊でも多くの本を子どもたちに届けたい—。母親らの一途な思いで始まったつくば市立春日学園義務教育学校の図書ボランティア活動が5年目を迎え、児童・生徒らに好評を得ている。低学年への読み聞かせから始まった活動はブックトークや独自の選書による学級文庫にまで広がりを見せ、他校の保護者らにも影響を与えている。


「子どもたちの笑顔が続けられる秘訣」と森田さん=10月19日、つくば市春日の春日学園義務教育学校

春日学園義務教育学校の保護者ら約30人でつくる「おはなしキャラバン」は月1回、小1〜4年生を対象にクラスごとに15分間の読み聞かせを行っている。

この日、3年3組の教室では代表の森田祐子さんが謎の動物が森にやってくる物語を披露。2冊目に選んだのは聞き手も楽しく参加できる絵本。あっという間の15分間が終了し、古園詩乃さん(9)は「この時間がいつも楽しみ。できれば週1回やってほしいな」と目を輝かせた。

急激な人口増

6年前に新設された同校では、開校以来TX沿線の急激な人口増などもあり、図書室の本の数と在校生数が折り合わない状況が生じた。当時2人を通わせていた森田さんを中心に、有志が出来ることから始めた。

仲間で読み聞かせの練習会を開き、自宅でわが子相手に音読を重ねた。選書はあえてルールを設けず読み手の自由に。「夏休み前なら昆虫、つくばらしさなら科学や宇宙関連。ウケ狙いでもOKなんです」。ふたを開ければ子どもたちには大好評。終了後には反響やクラスごとの雰囲気をデータ化し、初めて読み聞かせを行う仲間への「申し送り」にした。程なく高学年向けのブックトークも開始。「12歳」「職業」「勇気」などテーマごとに10〜15冊を紹介する原稿も手作りした。

PTAの理解も得て会費で学級文庫「ふくろう文庫」を全学年に配架。母の直感で選んだ本は3カ月に一度入れ替わり、「新しい本が待ち遠しい」という期待も徐々に感じるようになった。

本が足りない!


3年前からは文化祭にも参加。手作りポスターには鉱物をキャラクター化したり、「残念な歴史上の人物」など子どもの興味をそそる工夫も

国の調査によると、平成28年度の「学校図書館に整備すべき蔵書の標準数」を達成しているのは全国の小学校の66.4パーセント、中学校55.3パーセントで、その割合は「未だ十分ではない状況」としている。つくば市では県の調査結果を基に、昨年度末で廃校となった旧筑波町の2中・7小学校の蔵書を各校に分配したほか、今年度追加で図書費も増額した。

そんな中、今春開校した市内3つの義務教育学校では、今年度市内の学校で一斉導入された図書管理システムへの移行作業が司書一人の手では追い付かず、貸し出しが滞る事態に。ある保護者によると、ここでも「一日でも早く貸し出しを」と保護者らが自主的に配架作業を手伝った。また、「春日モデル」は他校の保護者らにも引き継がれ、「おはなし」のメンバーやOBが出張読み聞かせを行うなど、学校の垣根を超えた母親らの連携や情報交換なども行われている。

市では、一連の対応の遅れについて「特別支援学級支援員の大幅な増員や急激な児童・生徒数の増加による学校施設の増改築費のため」としている。また、同市の門脇厚司教育長は本紙の取材に対し、「来年度予算で図書費を増額する方針」との認識を示した。

情報過多の時代に

今後はペープサートと絵本を組み合わせた演出のほか、「できれば父親にも参加してもらい、中学生も参加できるおはなし会を企画したい」と夢を膨らませる森田さん。インターネットの動画サイトやテレビなどで手軽に情報が得られる時代だが、「静かに文字を追い、物語の登場人物に自分を投影することで子どもたちに『自分だけの感じ方』と『他人への想像力』を養ってもらいたいですね」。

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