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2018年9月10日(月)

「あの時はありがとう」

【西日本豪雨被災地ルポ】常総ボランティア、恩返しの旅

関東・東北豪雨から10日で3年を迎えるのを前に、常総市の復興に関わったボランティア団体が先月下旬、西日本豪雨で被災した広島県に向かった。常総で培った経験を携え、「あの時」の恩返しに向かったチームに同行取材。水害の恐ろしさと事前の避難計画の大切さを改めて強く感じた。


住居の床下に溜まった泥をかき出す「モグラ」は、猛暑との闘い=8月28日、広島県坂町小屋裏4丁目

8月27日早朝。今も一部区間が不通のままの広島呉道路坂北ICを下りると、被災地へ続く国道には砂ぼこりが舞い、土砂や流木を載せたトラックと一般車両で渋滞していた。瀬戸内海と急峻(きゅうしゅん)な山に挟まれた広島県安芸郡坂町小屋浦地区では15人が犠牲に、依然1人が行方不明となっている(8月31日現在)。

地区内で私設ボランティアセンターを立ち上 げた関係者の話では、被災から約2カ月で水道と電気は通ったものの、下水はいまだ復旧していない。西日本豪雨の被害は広範囲のため、同地区ではボランティアの手が全く入っていない家もまだまだあるという。

避難したら危ない

地区を流れる天地川では、上流の砂防ダムが決壊した。被害が最も大きかった4丁目には1階部分が破壊された幼稚園や寺院のほか、玄関が土砂でうずたかく埋もれた住居が今もそのまま。黒いビニール袋の土のうが積まれた川沿いには、明治時代に集落の人口の3割に当たる44人が犠牲となった水害の碑が建っていた。

7月6日明け方、川沿いに住む高下博美さん(62)は自宅1階で「ゴロゴロ」という異音を聞いた。窓から外を覗くと見たこともない大きな岩が目の前を転がり、川に架かる橋におびただしい数の流木が引っ掛かっていた。「(避難するために)外に出たら危ない」と思った矢先、「ゴーッ!!」という音と共に自宅裏から入ってきた土石流に襲われ、一瞬で胸の高さまで泥に埋まった。命からがら抜け出し2階に避難。「砂防堰堤が3つも破壊された。辺り一面、濁流じゃった」。水が引いた後、町内会でかわいがってくれた川向こうの夫婦が亡くなったと聞いた。「あんたら仲良くてええなぁっていつも冷やかしとった。それも、もうできん」。目頭を押さえ、下を向いた。

思わぬ「空き家問題」


被災から約2カ月経った今も、巨大な岩が当時のまま=8月27日、広島県坂町小屋裏4丁目

天地川沿いに坂下の2丁目に向かう。間もなく復旧予定のJR呉線のそばには、「玄関が二つある住宅」が建ち並んでいた。小屋浦2丁目—3町内会長の当田英明さん(71)によると、周辺は戦前から呉海軍工廠(こうしょう)の社宅として複層長屋(二軒長屋)が造られ、戦後民間に払い下げられた。所有権が家の左右・上下で違うため家主と連絡が取れないことも多く、「取り壊しの話し合いをしたくても相手がおらん」と当田さん。同地区では罹災証明書が244件発行されたが、うち100件が「解体」、残りの約140件は「態度保留」(坂町役場職員)の状態。復興を妨げる「空き家問題」に、住民は頭を悩ませている。

被災後3週間ほど山からの水が流れ続けた町内では、このほど住民総出で側溝に溜まった泥をかき出した。間もなく水が引き、片付けもはかどった。「普段目を向けん所が非常時に大事なんです。やっぱり、人間の都合で便利ばかり追い求めたらあかんわ」

1泊4日、18時間

再び坂を上ってボランティアセンターを経由し、地区最奥部の支援先に向かった。今回同行した復興ボランティア カサ・デ・ロサ(田上純平代表)は、常総で活躍した支援団体が熊本地震の被災地に向かった後、現場の仕切り役として個人のボランティアを差配。継続的な支援につなげてきた。出発前には常総きぬ川花火大会で募金を集め、支援物資の軽トラック1台と共に18時間掛けて現地入りした。

「以前は困っている人を見ても行動できなくて…」と話すきよ姉さん(55)は勤続20年のリフレッシュ休暇を使って参加。東日本大震災以降も各地の被災地支援に携わり、今回は常総で出会った仲間と共に床下に溜まった泥を除去。「何か社会の役に立ちたかった」と参加したあきほさん(22)と三浦さん(31)は、先月つくばみらい市から岡山に向かうボランティアバスで知り合った。冷えて固まったチョコレートのような土を軒下から黙々と土のうに詰め、汗をぬぐった。

小屋浦地区の住民は口々に「雨音で防災無線が聞こえなかった」と言った。外の様子を見に行き濁流に飲まれた西谷絹代さん(87)もその一人。「全然聞こえんじゃった。坂の下まで流されたら今頃死んどった」。西谷さん宅からさらに坂を上がると、二つの沢に挟まれた「中洲」のような場所に出る。付近の女性によると、中洲だと思っていた場所には以前3軒の家が建っており、逃げ遅れた高齢者3人が亡くなった。女性は土石流が起きる前日夕方に危険を感じ、広島市内の姪の家に避難。数日後自宅に戻ると時計は午後7時40分で止まっていた。「やっぱり早めの避難が大事ですね」。家の壁に付着した泥を落としながら、力なく笑った。

9月17日(祝)〜20日(木)に常総市から岡山県倉敷市に向けボランティアバスが運行する。17日午後9時常総市役所出発。募集は40人程度、参加費5000円(バス代、当日徴収)。14日(金)までに電話で申し込む。
Tel:0297(30)8789/常総市社会福祉協議会

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