相方の頭を激しくたたく「どつき漫才」でブレイクしたお笑いコンビ「カミナリ」。M-1グランプリでは2年連続で決勝に進み、2017年はテレビ番組への出演が前年に比べ230本増えるなど一躍人気芸人の仲間入り。生き馬の目を抜く業界でしのぎを削る竹内まなぶさん(ボケ)と石田たくみさん(ツッコミ)に、「お笑いの原点」について聞いた。
―同じ保育園で幼なじみ。最初にお互いを認識したのは?
石田(以下石) 4歳の頃かな。まなぶくんの実家のスーパーに母と行ったのが最初。二人で店のレジを占拠したり、まなぶくんによく砂をかけてたらしいです(笑)
竹内(以下竹) 僕は「皆が笑ってるならいいか」と受け入れていたので、今のスタイルがすでに確立してましたね。
―中学で再会しました。
石 中2の時にお笑いをやろうと誘いました。彼は計算した言葉で笑わせるというより、存在自体が面白かった。
竹 実は一度フリました(笑)
石 高校は別でしたが、携帯電話で昼休みに「午前中、こんだけ友達を笑わせたぞ」って報告し合ったりして。
竹 張り合ってたねぇ〜。
石 高2でやっとまなぶくんを口説き落とした。周りには「芸人になる」って言いまくってたので、うそつきになるのも嫌だったし。
竹 僕は…本当はサッカー選手になりたかったんですけどね。
石 オメーは補欠だろ!!
―結成時のコンビ名は今と違ったそうですが。
石 悩みに悩んで、好きなアーティストにあやかって最初は「ブッダ」。でも、宗教色が強いって言われて。
竹 それでお母さんに連絡しました。名付けはやっぱり母かと。
石 そしたら「カミナリ」って。響きも良かった。
竹 たぶん電話した時に近くで雷が鳴ってたんじゃないですかね(笑)
―ネタは二人で作るそうですが、ケンカはないんですか?
石 最初の1、2年はありましたよ。お互いに面白いと思うことがぶつかって、それこそ殴り合いになったり。
竹 今はなくなったね。
石 言い合いになることはあるけど、ネタのことじゃなくて「なんだその言い方」とか「ちゃんと聞けよ」とか…家族みたい。
―当初とネタに変化は?
石 最初は「○○かよ」「○○じゃないかい!」とか、標準語でコントをやってました。
竹 感情も魂も込めたつもりでしたが、お客さんの目は厳しかったね。
石 僕らが使う言葉じゃないって見抜かれてたような…。
竹 東京のお客さんを意識して技術とか設定の面白さにばかりこだわってた。
石 そんな時、事務所の先輩の永野さんが僕らのネタを見てくれた。ライブでウケなかったネタを褒めてくれて、「地元の友達を笑わせるような素朴なネタをつくったら」と。
竹 確か、田舎の設定のコント。なまってたんだよね。
石 それから二人でしゃべる時みたいに茨城弁でネタをやってみた。それが学生時代のようで…もしかするとあれで原点回帰できたのかも!
竹 でも、地元をネタにした方言漫才と言えば北関東はU字工事さんがいますから。
石 地元ネタはやらない。代わりに、普段の言葉で笑わせようと。
竹 今は普段の話し方だから楽ですね。まぁ、毎度たたかれるのはコント時代よりも大変なんですけど(笑)
―漫才とバラエティー番組で違いはありますか?
石 漫才は自分たちで考えた台本を楽しみながら100%の力で演じればいい。でも、バラエティーはアドリブ。頭の回転が速くないとついていけないから、正直大変です。
竹 たくみくんは、番組で俳優さんにインタビューに行くと「この後もお仕事なんですか?」とか気さくに聞けるんで感心します。背は小さいけど、器は大きいんだよね。
―入れ替わりが激しい芸能界。焦りはありませんか。
石 焦りは少ない方だと思います。なんでかな?
竹 僕らはゼリーに包まれてるんです。
石 は?(笑)
竹アドバイスやご意見を頂くことも多いんですが、全部は受け入れない。突っぱねたりはしないけど、直接自分たちの芯には触らせず、柔らかく受け止めながら跳ね返す感じですかね。芯があるから大丈夫というか。
石 そういう意味ね。でも、確かに初対面だと何言われても「俺らの何が分かんだ!」と思うこともありますね。
―M-1の決勝など、大舞台で緊張しませんか?
石 僕は嫁と子どものことを考えちゃって…2016年のM-1予選は緊張しましたが、決勝は「テレビだ!」って喜びが勝って緊張はしませんでしたね。2017年(結果は618点で9位)は、そこに「優勝したい」が加わった。
竹 プリンでいうと、上のカラメルが優勝への思いですね。
石 なんだよさっきから、ゼリーだのプリンだの(笑)
―茨城の魅力は?
石 都心から近いのに、自然を感じられるところ。鉾田のメロンは日本一だし。
竹 僕らが広めたいよね。茨城のBluetooth(ブルートゥース)になって。「ほらどこでも聞ける」みたいな。
石 どういう意味だよ(笑)2017年は茨城の仕事もたくさん頂けました。
竹 県内はどこに行っても親戚みたいに「おかえり」と迎えてくれるんですよね。
―今後の目標は?
石 さまぁ〜ずさんやバナナマンさん、事務所の先輩・サンドウィッチマンさんみたいに、おじさんになっても仲が良いコンビに憧れます。あとは単独ライブ。いずれは冠番組を持ちたい。
竹 僕は、早く長ズボンを買えるようになりたいですね。
石 半ズボンは、オメーの勝手だっぺ!!