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2017年2月13日(月)

「また今日も己を探す」に導かれ

新美南吉の研究に四十余年 小野敬子さん

童話『ごんぎつね』や『手袋を買いに』などで知られる夭折の文学者・新美南吉を研究する小野敬子さん(つくば市、81歳)は、作品の奥にある南吉の思いやメッセージを40年以上も探求し、レポートや書籍を発行。講演や語りで全国各地に足を運ぶことも多く、関東での認知度も上げたいと2013年からは地元で年2回語りの会を開催している。


語りのために作品の多くを暗記したが、「今は読み返さないとダメね」と小野さん

南吉は1913年(大正2)愛知県知多郡半田市岩滑(やなべ)に生まれ、4歳で母を亡くす。5歳の時に父が再婚して6歳の時に弟が生まれ、8歳になって亡き母の生家に養子に出されるが、寂しさのあまり数カ月で実家に戻る。

半田中学校(現半田高校)在学中から童謡や童話を創作し、19歳で東京外国語学校英文科(現東京外国語大学)に入学。すでに雑誌『赤い鳥』に童謡や「ごん狐」などが掲載されていて、北原白秋や弟子の巽聖歌、与田準一などにかわいがられた。

卒業後、都内で就職するが数カ月後に喀血(かっけつ)し帰郷。会社員や小学校の代用教員などを経て25歳で県立安城高等女学校の教員になり、童話や童謡、詩などを創作し単行本や童話集も出版。しかし、病気が進行し喉頭結核により29歳で死去した。

命みつめる奥深さ

小野さんは東京生まれで、小学4年で戦争疎開、戦後、愛知県知多郡に移住。南吉のことは30代初めまで全く知らなかったが、家族で知多郡美浜町に潮干狩りに行った時、夫が電車の窓から指差して「あの辺りが六貫山だよ」と子どもたちに話しているのを聞いた。その辺りは南吉の作品『和太郎さんと牛』に出てくる山らしく、子どもたちも南吉の作品にふれていて自分だけが知らなかった。

早速、南吉が通った半田中学校(現半田高)の第1回卒業生だった父の書棚から『新美南吉代表作集』を譲り受けて読んでみると、まさに驚きの連続。なぜなら自分自身も半田高の卒業生で南吉の後輩。南吉の描く風景に自分の学生時代が重なり、何より23歳の南吉日記にあった「また今日も己を探す」の一文に引き込まれた。それは南吉の人生そのもので、南吉は生涯をかけて「自分」を探していた―。つまり童話は南吉の「自分」であり文学なのだと感じた。

そして、主婦業の傍ら研究に乗り出し、数年後には40代で大学の通信学部に入学。南吉の研究を卒論にして学長賞を授与された。

一人でも多くの人に


以前の読み聞かせの様子(つくば市内の幼稚園)

1971年に開講された名古屋市教育委員会の児童文学講座を受講し、婦人大学講座の企画準備にかかわった。翌年には自主グループ「児童文学波の会」発足にもかかわり、同会の文集に南吉作品の研究レポートを毎号発表。その探索記を集約して92年に『南吉童話の散歩道』を発刊し(現在4刷)、2008年には南吉作品にちなんで半田市や安城市、美浜町などに造られている記念碑やオブジェなどを写真付きで解説した『詩碑の散歩道』を発刊。新美南吉記念館で行われている月1回のイベントには15年以上も欠かさず通っている。

つくばに転居したのは2003年。地元の語りの会に入会して幼稚園や小学校ほかで南吉作品を紹介したが、大人のファンも増やそうと南吉生誕100年の2013年からは語りと音楽のイベントを開催。毎年春秋に行い、今春5月にも実施する。「『ごんぎつね』が小学校の教科書に掲載されて50年以上。それだけ長く愛されるには理由がありますよね。ぜひ、ほかの作品も読んでみてください」。

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