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2017年1月4日(水)

三味線プレイヤー 上妻 宏光(あがつま・ひろみつ)さん

古典の先にある新境地を拓く

津軽三味線の可能性と奥深さを世界に知らしめる三味線プレイヤー上妻宏光さん(43)は日立市出身。6歳で三味線を習い始め、全国大会優勝を果たした15歳でプロの道を目指そうと上京。「やるだけやってダメならそれでいい」と独自に三味線の新たな演奏スタイルを開拓し、今ではさまざまな洋楽器との共演やコマーシャル、ドラマ・映画のテーマ音楽など幅広く活躍。合間を縫って二人の子と過ごす時間が、何よりの活力源だという。

挑戦と自立


今まで所持した三味線は7棹。演奏中に皮が破れることもあるので、舞台には2棹持参する

三味線が趣味だった父の演奏を聴いて育ち、その音色やビートの利いた力強さが心地よく体に染みた。6歳になって自分も習いたいと佐々木光義さん(日立市)に入門。毎週1回30分のけいこに休まず通い、家でも練習を積んだ。

メキメキ腕を上げ周囲からもてはやされていた頃、民謡酒場でプロの演奏を聴きレベルの違いに打ちのめされた。それでも、15歳で挑戦した全日本津軽三味線競技大会で見事最年少優勝を果たすと、国内だけでなく海外にも挑戦したいと夢が膨らんだ。東京でその足掛かりをつかみたいとはやる気持ちに、両親は「せめて高校まで地元にいて、大学を出て企業に就職して―」と反対した。

「日立市といえば、あの大手企業。そこに就職するのが一般的な親の願いでした。プロでやるにしても高校を出てからにしてと」

プロでできるか挫折するか、やってみなければ分からない。挑戦したい気持ちと不安は半々だったが、「ダメならダメで早く答えを出したかった」。両親を説得し、都内で暮らしていた姉の下に身を寄せて高校に進学。

17歳の時、竜童組(宇崎竜童)の流れを組む邦楽ロックバンド「六三四Musashi」に誘われ最年少メンバーに。ギターやドラムなどの洋楽器と三味線、和太鼓などのユニットで、最初は洋楽器のハーモニーに三味線のリズムが合わず四苦八苦。メトロノームを使って納得できるまで一人練習を重ねてコツをつかむと、レコーディングやツアーのたびに声が掛かった。

パイオニアとして

1995年、全日本津軽三味線競技大会に再びチャレンジし、優勝。翌96年も優勝を飾り2連覇達成。大会の流れを変えたくて定番の曲を避け、あえて難しい選曲でつかんだ優勝は目標だった壁を一つ乗り越える手応えになった。

しかし、洋楽器とのコラボなど活躍の場を広げるほどに「三味線の邪道」と非難も集中。前例のない新境地を開く道は厳しく、2000年からソロとしてのレコーディングなど活動を始めたものの仕事を一つ取るのも大変だった。そんな中、01年にメジャーデビューを果たし、03年には全米デビュー。15歳で夢見た海外に飛び出し、欧米各国で人気を集め即興演奏に磨きを掛けた。

「もともと津軽三味線は目の見えない人が家の門に立って演奏したのが始まりですから、楽譜がなく弾き手の個性をアピールする即興演奏なんです」

これまで30カ国以上を回り、その国々の曲を演奏することを心掛け心の交流も図っている。そんな活躍はいつしか日本の三味線界をリードし、日本の楽器でありながら親しみがなかった若い世代にも浸透。今ではテレビ・ラジオ出演ほか、コマーシャル、ドラマ・映画音楽などの曲づくりに追われ、「ぱっとひらめくこともあれば、何日も浮かばないこともある」という生みの苦しみを経て創作。目指すは「即興の良さを生かした誰もが弾けるオリジナル作品」。その取り組みが着々と進んでいる。

今しか無い時間を大切に


洋楽器とハーモニーを合わせるのはすごく大変。「体で覚えるしかないですね」

2017年元日は「日本流伝心祭クサビ―楔―其ノ五」コンサートを東京国際フォーラムで開き、新年をスタート。国内外でのツアーほか忙しい日々を妻と二人の子どもたちが支えてくれる。どんなに忙しくても「子どもと過ごす時間は、過ぎてしまえば二度と取り戻せない貴重な時間」とイクメンぶりを発揮。

そんな子どもたちの成長を両親にも見せたくて、日立に帰る機会も増えた。気になる健康管理は「毎日納豆を食べていますので」と笑顔。

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