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2016年1月18日(月)

除草や教育現場で活躍

「ヤギさん」出番ですよ

耕作放棄地に太陽光発電設備が増える中、そのパネルの下の除草にヤギが活躍している。一日に自分の体重の15%相当の草を食べるといわれ、人懐こく飼いやすいため除草要員に最適。そうした需要増を背景に茨城大学では一昨年、関係者や行政とともに「ヤギが担う地域の環境とくらし」と題した円卓会議プロジェクトに取り組み、ヤギの利点を生かした地域づくりを探り始めた。

茨城大学農学部が中心となって実施した円卓会議プロジェクトは、文部科学省の平成26年度「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」の一環としての取り組み。ヤギ飼育農家やヤギの除草管理者、自治体関係者と大学が議論してその活用や普及のために問題点を洗い出し、「ヤギを用いた地域づくり」実現に向けて具体的な話し合いをした。

その背景にあるのは、東日本大震災以降に太陽光発電設備の設置が増加したことと、それに伴って施設の除草にヤギが注目されたことがある。実際、ヤギの研究で知られる農学部の安江健教授の下には、ここ数年問い合わせが急増しているという。「長年、ヤギを飼いましょうと訴えてきましたが、ここにきてやっと陽の目を見たという感じ」と安江教授。

かつては多くの農家で飼われ、その乳を母乳代わりにしていたというヤギは、1990年代までに全国で2万頭あまりに減少。身近で目にする機会はほとんどなくなり、飼い方もあまり知られていない。そのため安江教授は、プロジェクトと平行して昨年9月に一般向けのヤギの飼い方講座&実習を行った。さらに、小学校で子どもたちがヤギと触れ合える、阿見町と大学連携による「命の授業」も実施している。

「まずはヤギの良さを知ってもらいたい。人懐こくておとなしいので飼いやすく、車に乗せて移動できる大きさなので手軽です。雨風を防げる小屋があればいいんですよ」

農地のままで残したい


ソーラーパネルの下で黙々と草を食べるヤギを見守る平戸さん

土浦市の梶井清司さん(54)は、かつて両親が花卉(かき)栽培していた約1町歩の畑をしばらく耕作放棄のままにし、勤めの傍ら雑草の刈り取りに苦慮していた。その後、大手通信会社から太陽光発電設備の設置依頼がきて土地を貸与。しかし、いずれは農地に戻したいと考えて除草剤やコンクリート敷きを避け、2015年5月からソーラーパネルの下に伸びる雑草処理にヤギを導入した。

提案したのは設備の建設を行った会社代表の平戸治夫さん(73)。初めは子ヤギを含む5頭からスタートし、年末までには21頭に増加。ヤギたちは夜明けから日没まで広い畑をまんべんなく回って草を食べ、隅々まで上手に除草する。秋口からは枯れ草も食べ、足りない時は別に用意した干し草を与えることもあり、時には近所の農家が野菜を分けてくれることもある。

「初めは管理できるかどうか心配でしたが、懐いてくるとかわいくてね。本当によく働いてくれますよ」と梶井さんと平戸さん。その愛らしさに近所の子どもたちが遊びに来ることもあり、ヤギたちも喜んでいる様子。

肌で学ぶ命の教育


阿見町立吉原小で行われた茨大農学部の命の授業

茨大農学部で飼育しているヤギのデコ(母)とカボス(子)を連れて安江教授と学生が阿見町立吉原小学校(池田直哉校長)を訪れたのは、2015年7月と12月。

夏には小さかったカボスがすっかり成長した12月、1、2年生の児童らにまずはヤギの性格や特徴などを説明し、その後、一人ずつ草を食べさせたり体にブラシを掛けたりして触れさせる。

児童らは「あったかい」「かわいい」と笑顔を見せ、最後にデコの乳搾りも体験。休み時間にはほかの学年の児童も三々五々校庭に出てはヤギに近寄り、興味津々で体をなでていた。

「これがヒツジだと警戒心が強くてだめ。ヤギだから触れ合えるんですよ」と安江教授。学校だけでなく、いずれは犬猫のアニマルセラピーのように福祉分野でもヤギを活用したいという。




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