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茨城歴史散歩
[2016-10-07 up]

瑞祥院の五百羅漢 - 稲敷市

高台から街見下ろす兄を思う弟の信心


1352年(元和元)創建の古寺・瑞祥院。その金比羅宮の石段を上がって竹林を抜けた高台の「羅漢山」に、仏陀の弟子を模した五百羅漢が江戸崎の街を見下ろすように並んでいる。

建立したのは地元に住んでいた豊島和七。瑞祥院の檀家であったこと以外の出自は不明だが、全盲の兄の開眼を願って全国六十余州の寺に法華経を奉納しながら巡礼するも成就せず、瑞祥院の和尚に相談したところ五百羅漢建立の提案を受けた。

「労力も資金もかかる五百羅漢の建立という苦難を乗り越えれば、道は開けるかもしれないと和尚は勧めたのではないか」と稲敷市歴史民俗資料館郷土資料整理員の平田満男さん。

同院に残る『五百羅漢建立由来記』によると、1780年(安永9)の発願から1804年(文化元)まで完成に24年の歳月を要し、552人に上る寄進者の中には当時廻船問屋として財を成した豪商・鍋屋忠兵衛のほか千葉や東京、埼玉からも寄進があったと記録が残る。

当時の江戸崎は利根川水運で江戸まで手広く商売する人も多かったため、五百羅漢建立の話が各地に伝わったと考えられ「和七の兄を思う気持ちに感銘を受けた人も多かったのでは」と平田さん。

和七は完成を見届けた1811年(文化8)に死去。羅漢像は明治に入ると廃仏毀釈運動の憂き目に遭い、丸彫りの像が首を折られたり長い間打ち捨てられていたものもあったという。しかし、平成に入ってから寺に出入りする石材業者の善意で一部修復。同10年から行われた安全対策工事の際には近隣住宅の敷地などから行方不明だった7体が出土し、今は500体が顔をそろえる。

現在、瑞祥院は専任住職が不在で檀家の高齢化も進み、羅漢像の維持は難しくなっている。それでも、史跡巡りや「江戸崎八景」にも挙げられる夕景を一目見ようと訪れる人が後を絶たない。


 

瑞祥院の五百羅漢 - 地図

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